「(試合をすることが)野球の責務」とセントラルリーグ会長は言う。「野球をするのが選手の仕事」との発言もあった。
しかし、ちょっと早すぎる。
まだ膨大な行方不明者の捜索も目処がたっておらず、被災者に電気もガスも食料も充分に行き渡らず、石油も少なく充分な支援活動も出来ていない。この状況でプロ野球の開催は時期尚早と言わざるを得ない。
確かに野球をすることで勇気付けることが出来るかもしれない、しかし、瓦礫の中でまだ救助を待っている人がいるかもしれないという状況の中で、余りにも『空気が読めない』のではないか。
しかも東京ドームの三連戦。
一回の試合で一日の一般家庭の3500件分の電力を使うという。計画停電で不便を我慢している我々関東一円の住民を余りに馬鹿にした話ではないか。
2001年の米国同時テロの時、「野球は人々を鼓舞する」とマジャーリーグのコミッショナーが言ったというが、あの時は野球をやったって誰にも迷惑をかけず、救助活動にも支障がなかったはず。
しかし、いま東京ドームで大量の電力を消費して試合を行ったら、何人、何百人、何万人の国民に迷惑がかかるのか、想像力が余りにも欠如している。
「ドーム球場以外でのデーゲーム」「電光掲示板、アナウンスなど電気を消費するものは使わない」「中部以西での開催」「収益金を寄付する」など、対策を講じればなんとか納得は出来るが、そういうことは全く表明されていない。
「野球をするのが選手の仕事」と言うなら、「戦争をするのが兵士の仕事」ということにならないか?どこの国の軍隊だってのべつくまなしに戦争をしている訳ではない。する場所、すべき状況があるからするのであって、戦争をしないのも兵士の仕事だろう。
今回救いなのは、選手会がこのセリーグ事務局の方針に反対していること。
昨日のブログで「自動車レースは止めるべきではない」と書いた。その考えは今でも変わっていない。しかしそれはあくまで状況が落ち着いてからのこと。この時期に野球にせよ、レースにせよ、スポーツイベント行うのは正気の沙汰でない。
セリーグの会長は「時と場合」という言葉をご存じないようだ。