「こんなもの貰ってきちゃった。」
と言って目の前に出したのがこれ。
「こんなものって・・・・、え、お前、百年の孤独って、あの百年の孤独か?」
「なんか、有名なお酒らしいけど知ってる?」
知ってるなんてモンじゃない、5年ぐらいまえから、一度飲んで見たいと思っているのに未だに飲んだことがない。
新宿の南口に宮崎県の物産館があって、そこの酒類売場で一人一回に限ってこの百年の孤独を買うための申し込みを受け付けていて、この5年くらい新宿に行くたびに申し込んでいるのだが、まだ一回も当らないのだ。
幻の酒というのは、20年くらい前なら下町のナポレオンと呼ばれた『いいちこ』、そこから少し最近になると新潟の『越の寒梅』などがあるが、この二つよりも百年の孤独はずっと手に入りにくいのではないだろうか。『いいちこ』も『越の寒梅』も量産体制を整えたらしく、今ではそれほど手に入りにくい酒ではなくなった。
しかし、『百年の孤独』は蔵元のホームぺージを見ても、全く増産するつもりはないらしく、酒造りを農業と捉える姿勢は共感できるものの、2千円台の定価の物が一万円近い値段で売買されている現状をどのように考えているのだろうか。
そんなことを女房に話すと、「ふーん、そうなんだ」と言いながら隠そうとするので、 コラコラと奪い取る。ボトルには半分ぐらい残っている。
小さめのグラスに注ぎ、生で飲んでみる。
口に含んだとたん、広がる風味はシングルモルトのスコッチウイスキーに似ている。次に口の中に広がるのは日本酒の吟醸酒のような甘さだ。ひたすらまろやかである。
息子の同級生のお父さんに焼肉店を経営している人がいて、その人が二次会に持ってきたらしいのだが、今度お父さん同士でぜひともお友達になりたい。もう遅いか?